長年の夢が叶い農家になれました。耕作放棄地と荒れた里山および傷んだ古民家を入手しました。田舎によくある風景ですが、コレをゆるく再生、維持する記録です。いろいろな妄想で頭の中がいっぱいになっていますので、日記にすることで少しずつ文章にして整理したい。それと、趣味の話を少しだけ。
2017年12月8日
キャブレター 私は重力(フロート)式が好き
21世紀の現在、2サイクルエンジンでキャブレターが使われてる機械など、草刈機やチェンソー等、一部の小型農機くらいで、
ほとんどのが4サイクル、電子制御燃料噴射という組み合わせになってると思います。
そのキャブレターの中でも、特に重力式のやつは、旧式のイメージが定着して、草刈機の市場でも全く見ることができません。
現在は、ほぼすべての草刈機でワルボロタイプの負圧式のキャブレターが最初から標準で付いていると思います。
私は、この負圧式のキャブがあまり好きではないのですが、
なぜかというと・・・(長いです)
傾斜地の作業をするときに、どうしてもエンジンが斜めになりますので、重力式のキャブでは、フロートも斜めになってしまいます。
フロート室は、基本的に大気圧と同じになるように開放されてますので、
その経路から燃料があふれ出して、エンジンの調子が悪くなったり、
混合ガスが作業者のふくらはぎにかかったりするわけです。
(それを防止するためにNB351ではエンジンの角度を変えられるようになってます)
そんな、傾斜地での燃料漏れと送り不良を防ぐための負圧式キャブですが、密閉されているので、どのような角度にしても、燃料が漏れることはありません。
ただ、燃料を送る機構が、重力式の場合はただ単に吸気の流れによる負圧で吸い出してるだけなのに対して、
負圧式のは、クランク室の圧力変化の脈動を利用して小さなポンプを駆動し、燃料を強制的に循環させてその経路の中で一定の圧力を作り出して送るようになってるので、ポンプやダイヤフラム等、余分な樹脂製の部品が必要になります。
そして、その部品が経年変化での寿命がとても短くて、定期的に点検、交換する必要があり、そのあまりにも複雑繊細な燃料の経路が目に見えないような異物で詰まりやすく、維持にはある程度の知識と道具、消耗品の補給が必要です。
チェンソーならば、横倒しにしたり逆さまにしたりして使うので、どうしても負圧式でないとイケナイ理由がありますが、
刈払機なら、平地の作業や、斜面でも背負式の刈払機を使えば、負圧式は全く必要ないと思います。
重力式キャブなら、少しの知識と簡単な道具さえあれば、必ず修理できます。
しかし、刈払機の市場で負圧式が一般的に使用されています。
それはなぜか。
・傾斜地でもエンジンの調子を保てる。
・燃料コックが付いていないので、閉め忘れによるトラブルを防げる。
・燃料が密閉されてるので、運搬中に倒しても、漏れたり不安感がない。
・使用後に燃料を抜いて保管しないでも、じんわりと漏れてなくなってたり、フロート室の中でガソリンだけが蒸発して2ストオイルでいっぱいになってたりすることがない。
というのがとりあえず使用する上での長所です。しかしこれは傾斜地以外は使用者の注意で防げることですが。
・もうすでに重力式のキャブが使われてる草刈機など売ってないし、旧式でかっこ悪い。
というイメージもある程度浸透してる感じ。
そんな雰囲気の中、製造販売側は
・ツーグリップや、ループハンドルの刈払機には絶対必要で、負圧式でないと成立しない。
・部品の共通化によるコストダウンの都合上、Uハンドルや背負式の刈払機にもコレを採用した。
背負式はフレキの部分でパワーが減衰するので、ひとクラス上のエンジンが必要で、部品点数が多いことから高価になるので、斜面用の草刈機としてはツーグリップやループハンドルのが必要で、これはある程度は理解出来ます。
・適当な時期になったら、必ずダイヤフラムやポンプの部品が劣化して調子が悪くなり、草を刈る人は、作業の滞りで焦って正常な判断力を失い、寿命と勘違いして新しい草刈り機に買い替えたり、
・農機屋は、「キャブレターを交換したほうが早くて確実」という独自の理論を展開し、営業テクニックとして、高額な修理見積もりを出しやすく、コレならば新しい刈払機に買い替えたほうがいいんじゃない?みたいな、雰囲気にもって行きやすい。
というのが、製造・販売側の長所です。
つまり、メーカーと販売店側の利害が一致して、使う側の利益をそこなってるといえます。
彼らの目的は、草を刈ることではなくて、草刈機を売ることですから仕方ないのですが、あんまりです・・
私も一度、そのワナにはまってしまいましたが・・・、その反省から、少しずつ努力を重ねて参りました。
そして今ではガチガチの重力キャブ信奉者に(笑)Uハンドルや、背負式は絶対に重力!
東南アジアやアフリカで、刈払機といえばNB411(のコピー品)が定番になってるようですが、これはその高性能だけでなく、信頼性、維持のやりやすさが大きな要因になってると思います。
そして、それこそが、重要なのです。
私は、刈払機の維持管理に、そんなプロの農機屋に依頼する気はゼロなので、できるだけ単純な構造の機械が望ましいのです。
数年間放置されて、燃料が腐ってどろどろになった草刈機を修理する時、重力式の方がずっとやりやすいです。負圧式のは、本当にキャブを交換したくなります。
まして、部品の供給の難しいアジアやアフリカでは、絶対に重力式のほうがいいに決まってますよ。
絶対にご理解いただけないとは思いますが、私はこのように強く思います。(終)
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素晴らしいコメント。
返信削除わー、はい。ありがとうございます。
返信削除初めまして。貴殿が記載されてから時間がたっていて、今更ですが、色々ネットサーフィンしていたら、貴殿のこの内容を見て、うれしくなりました。
返信削除3年前に刈払機を数台購入する必要があり、纏め買いしました。背負い式2台、肩掛け式3台です。丁度、TANAKAがHikokiに変わるときで、旧TANAKAが安くで売られていました。
取説を見たら、背負い式はフロートキャブでした。半世紀以上前の学生時代、YAMAHAの2ストを分解しまくっていたので、迷わずTANAKAにしました。タンクは上についていて、大容量です。
なるほど、ダイヤフラム式とはこういう違いが大きいのですね。因みに、小生の従弟はミカン専業農家で、叔父伯母含めて、皆背負い式の古いやつですね。
先日リョービの背負い式のダイヤフラム中古を知人からいただいたのですが、再起動に難儀しています。
頑張らねばデス。楽しい記事ありがとうございました。
ありがとうございます。
削除ワルボロタイプキャブでも腐らせなけりゃ問題ないのですが、どうしてもフロートキャブの単純メカがいいですね。詰まっても自力で直せると言う安心感、これにつきます。
とはいえ主流はダイヤフラム式なのでこっちの修理にも挑戦したいのですが、内部のあまりの細かさに二の足を踏んでいる状況です(笑)